大泉洋さん主演、野木亜紀子さん脚本の話題作『ちょっとだけエスパー』のオープニング英文。第1話が始まった瞬間、私も含めて多くの視聴者が「あれ?」と思ったんじゃないでしょうか。
画面に突然表示される長い英文。しかもスペースなしの大文字で、一瞬しか表示されないから読み取るのも一苦労。「これって何?」「毎回変わるの?」って、思わず録画を巻き戻した方も多いはず。
今日(5話)のちょっとだけエスパーの冒頭の英文
— さなえ (@SNE_27) November 18, 2025
切るとこ合ってるかわかんないし文章のの組み立てとして正しいのかもわかんないけど(英語苦手) pic.twitter.com/qaxvM6P3YR
実は私もその一人で(笑)、2話を見て初めて「あっ、これ毎回違うんだ!」って気づいたんです。そこから冒頭の英文をチェックするのが毎週の楽しみになりました。

今回は、この”最初の英語”には、その回の物語を象徴するストーリーが先に語られているという、なんとも野木亜紀子さんらしい粋な仕掛けについて書いてみました。
- ちょっとだけエスパー 最初の英語:冒頭に毎回表示される”英文”の特徴
- ちょっとだけエスパー 最初の英語が示す”内容”とは
- 最初の英語に仕掛けられた演出意図
- 実際に使われた英文の解説(1話〜8話)
- 第1話:「HE MUST NOT LOVE」―契約の始まり
- 第2話:「THE PAINTER WAS HAPPY」―過去形の真実
- 第3話:「A LITTLE BIT LIKE HEROES」―ちょっとだけの勇気
- 第4話:「SOON, THE TIME WILL COME」―愛の芽生えと予兆
- 第5話:「WILL ASH OR SNOW FALL FROM THE SKY?」―敵の出現
- 第6話:「KIZASHI IS A SIGN OF THE BEGINNING」―すべての始まり
- 第7話:「WHY WAS BUNTA CHOSEN?」―運命の問い
- 第8話:「ETERNITY AND FLEETING MOMENT」―永遠と一瞬
- 第9話(最終回):「THAT IS WHAT IT MEANS TO LIVE」―生きることの意味
- まとめ:ちょっとだけエスパー、最初の英語は”視聴者へのヒント”
ちょっとだけエスパー 最初の英語:冒頭に毎回表示される”英文”の特徴
オープニングが始まると、まず「E・S・P・E・R」のアルファベットが順番に浮かび上がります。そして次の瞬間、画面いっぱいに広がる長い英文。
この英文、よく見ると3つの特徴があります:
- ALL CAPS(すべて大文字)
- スペースなしで一語構成
- 数秒だけ表示されるミニマル演出
最初見た時は「読めないよ!」って思ったんですが、これって実は意図的なんですよね。
一瞬しか表示されないから、気になって録画を見返す。そこで初めて「あ、こんなこと書いてあったんだ!」って発見がある。まるで宝探しみたいな感覚です。
なぜ大文字・スペースなしで表現されているのか
これ、最初は「デザイン的なカッコよさかな?」って思ってたんです。でも違いました。
大文字でスペースなしにすることで、言葉の印象を強め、物語のテーマを簡潔に象徴しているんですよね。普通のテロップとは明らかに違う存在感。「これは特別なメッセージですよ」っていう合図なんです。
それに、英語で表現することで、ある種の抽象性が生まれる。日本語だとストレートすぎて、ネタバレになっちゃう。英語だからこそ、視聴者の想像力を刺激しつつ、後から「ああ!そういう意味だったのか!」って気づく楽しみが生まれるわけです。
ちょっとだけエスパー 最初の英語が示す”内容”とは
物語のテーマを象徴するキーワード
各話の冒頭英文を並べてみると、驚くべきことがわかります。
これ、あらすじだけじゃないんです。その回の核心的なテーマ、登場人物の心の動き、そして時には結末まで、すべて最初に提示されています。
例えば第1話。「HE MUST NOT LOVE(彼は愛してはならない)」というフレーズ。契約結婚というこのドラマの根幹をなすルールが、たった4単語で表現されています。
でもこれ、最初に見た時は「なんで?」って思いませんでした?妻を得たのに愛してはいけないって、どういうこと?でも物語が進むにつれ、この言葉の重みがずっしりと響いてくる。
キャラの行動・選択を暗示するケースも
第4話の英文が特に好きです。
「BUNTA BEGINS TO LOVE HIS ALLIES. HE ALSO BEGINS TO LOVE SHIKI.(文太は仲間たちを愛し始める。そして四季のことも愛し始める)」
この「ALSO(そして)」って言葉、すごく繊細だと思いません?仲間への愛と、四季への愛を、さりげなく区別している。でも同時に「BEGINS TO(始める)」という進行形で、文太の心の変化を丁寧に描写している。
そして最後の一文。「SOON, THE TIME WILL COME.(やがて、その時が訪れる)」
これ、見た瞬間に「やばい、何かが起きる」って予感しました。実際、第5話で四季がEカプセルを飲んでしまうという衝撃展開が待っていました。
視聴者が気づきにくい伏線要素
第7話の英文がもう、鳥肌もの。
「THE DATA CAN BE SENT TO THE PAST.(データは過去へ転送できる)」
え?過去に?って思いましたよね。この時点で「ああ、そういうことか」って気づいた人は天才です。
四季の記憶が書き換えられる理由、兆との関係、すべてがこの一文に集約されていた。でも最初に見た時は、この文章の意味がわからない。物語を見終わって初めて「過去にデータを送る」ことの意味が理解できる。
この時間差で効いてくる伏線が、野木脚本の真骨頂なんです。
最初の英語に仕掛けられた演出意図
各回のメッセージを視聴前に示す役割
よく考えたら、これって革命的な演出かもしれません。
普通のドラマって、物語が進んでから「ああ、そういうことだったのか」って理解しますよね。でも『ちょっとだけエスパー』は、答えを先に提示してから物語を始めるんです。
ちょっと古畑任三郎っぽいかも。
ただし、その答えは暗号化されている。英語で、スペースなしで、一瞬だけ表示される。だから最初は気づかない。でも確かにそこにある。
これって、ある意味でエスパー的な演出だなって思いました。文太が相手に触れると心の声が聞こえるように、視聴者も冒頭の英文に「触れる」ことで、物語の核心に触れられる。
ドラマの世界観を瞬時に伝えるため
次は、第3話の最後の一文、これも好きです。
「THE ESPERS BECAME A LITTLE BIT LIKE HEROES.(エスパーたちはちょっとだけヒーローになった)」
この「A LITTLE BIT(ちょっとだけ)」って、タイトルそのものじゃないですか。完璧なヒーローじゃない。でも、ちょっとだけヒーローになれた瞬間がある。
犬が吠えて、火花が散って、文太たちが勇気を出した瞬間。その小さな勇気を「ちょっとだけヒーロー」って表現する優しさが、このドラマの世界観そのものなんですよね。
サブタイトルではなく”英語文”にした理由
もしこれが英訳サブタイトルとしてだけだったら、キーワード一つだけ表示すればいいはず。でもそうじゃない。わざわざ物語形式の文章にしている。
第8話なんて特に顕著です。
「ON BUNTA’S MISSION, SHIKI REMEMBERS BUNCHAN, KIZASHI’S ETERNITY AND THE FLEETING MOMENT OF SHIKI.(文太の任務中、四季はぶんちゃんのこと、兆にとっては永遠の、自分自身には一瞬の出来事を思い出す)」
「ETERNITY(永遠)」と「FLEETING MOMENT(一瞬)」の対比。これ、日本語だとこんなに美しく表現できないかもしれない。英語だからこそ、時間の相対性という哲学的なテーマが、一文に凝縮されているんです。
実際に使われた英文の解説(1話〜8話)
第1話:「HE MUST NOT LOVE」―契約の始まり
原文: BUNTASTARTSWORKINGHEBECOMESANESPUSERHEGETSAWIFEBUTHEMUSTNOTLOVE
解読: Bunta starts working. He becomes an ESP user. He gets a wife but he must not love.
和訳: 文太は働き始め、エスパーになり、妻を得るが、決して愛してはならない。
第1話を見終わった後、この英文を読み返した時の衝撃、覚えてますか?
「働き始める」「エスパーになる」「妻を得る」という人生の大きな出来事が、淡々と並べられている。でも最後に「BUT(しかし)」が来る。
「HE MUST NOT LOVE(彼は愛してはならない)」
この「MUST NOT」の強さ。義務じゃなくて、禁止。愛することが許されない。四季との契約結婚の本質が、この4単語に凝縮されているんですよね。
文太と四季の最初の出会い、ギクシャクとした会話、でもどこか通じ合うものを感じる瞬間。この英文を知った上でもう一度第1話を見ると、二人のすれ違いがより切なく感じられます。
第2話:「THE PAINTER WAS HAPPY」―過去形の真実
原文: BUNTAGOESONATRIPWITHHISFRIENDSANDWIFEHESAVEDAPAINTERTHEPAINTERWASHAPPYTOSTAYPAINTER
解読: Bunta goes on a trip with his friends and wife. He saved a painter. The painter was happy to stay painter.
和訳: 文太は友人たちや妻と一緒に旅行に出かける。彼はある画家を助け、その画家は画家であり続けることを喜ぶ。
これ、本当に秀逸な伏線だったと思います。
最初の文は現在形。「GOES(出かける)」「SAVES(助ける)」。でも最後の文だけ過去形なんです。「WAS HAPPY(幸せでした)」。
なぜ過去形?
物語を見て、千田さんが突然の事故で命を落とすラストを見た時、この過去形の意味がわかりました。「画家であり続けることを喜んだ」人生は、確かにそこで終わってしまった。
文太は千田さんを犯罪から救った。でも、死からは救えなかった。「世界を救う」ミッションの限界と切なさが、この「WAS」一文字に込められているんですよね。
SNSでも「最後だけ過去形なの気づいてた?」「結末を最初から示してたのか」って話題になりました。この発見を共有できるのも、このドラマの楽しさです。
第3話:「A LITTLE BIT LIKE HEROES」―ちょっとだけの勇気
原文: BUNTALEARNSABOUTOSUKEHEHEREMBEREDHISFATHERADOGBARKEDSPARKSFLEW TESPERSECAMEALITTLEBITLIKEHEROES
解読: Bunta learns about Osuke. He remembered his father. A dog barked. Sparks flew. The Espers became a little bit like heroes.
和訳: 文太は桜介について学んだ。彼は父親のことを思い出した。犬が吠えた。火花が散った。エスパーたちはちょっとだけヒーローになった。
この回、泣きました。
「A DOG BARKED.(犬が吠えた)」「SPARKS FLEW.(火花が散った)」という、短くて具体的な描写。でもこの二つの文が、あの緊迫したシーンの臨場感をそのまま伝えているんです。
そして最後の「A LITTLE BIT LIKE HEROES(ちょっとだけヒーローになった)」。
完璧なヒーローじゃない。でも、怖くても前に進んだ。その小さな勇気を「ちょっとだけヒーロー」って言ってくれる優しさ。これがこのドラマの核心だと思います。
桜介について知り、父親を思い出し、それでも戦った文太たち。その成長が、シンプルな英文で描かれています。
第4話:「SOON, THE TIME WILL COME」―愛の芽生えと予兆
原文: BUNTAHIDESASECRETFROMTHEBOSSTHESECRETGROWSBUNTABEGINSTOLOVEHISALLIESHEALSOBEGINSTOLOVESHIKISOONTHETIMEWILLCOME
解読: Bunta hides a secret from the boss. The secret grows. Bunta begins to love his allies. He also begins to love Shiki. Soon, the time will come.
和訳: 文太はボスに秘密を隠す。その秘密は大きくなっていく。文太は仲間たちを愛し始める。そして四季のことも愛し始める。やがて、その時が訪れる。
この回から、物語が大きく動き始めましたよね。
「THE SECRET GROWS(秘密は大きくなっていく)」という進行形の不穏さ。隠し事は膨らんでいく。嘘は嘘を呼ぶ。
でもその一方で、「BEGINS TO LOVE(愛し始める)」という希望の言葉。
特に好きなのが「HE ALSO BEGINS TO LOVE SHIKI(そして四季のことも愛し始める)」の「ALSO(そして)」です。仲間への愛とは別の、特別な感情が芽生え始めている。でもまだ「BEGINS TO(始める)」段階。
そして最後の「SOON, THE TIME WILL COME.(やがて、その時が訪れる)」。
何かが起きる。大きな転機が来る。この予告が、次回への期待を高めます。
第5話:「WILL ASH OR SNOW FALL FROM THE SKY?」―敵の出現
原文: THEBIRTHOFANEWESPERBITFIVEREJOICESLOVEANDBONDSGROWDEEPERANENEMYAPPEARSWILLASHORSNOWFALLFROMTHESKY
解読: The birth of a new Esper. Bit Five rejoices. Love and bonds grow deeper. An enemy appears. Will ash or snow fall from the sky?
和訳: 新たなエスパーの誕生。ビットファイブは歓喜する。愛と絆はより深まっていく。敵が現れる。空から降るのは灰か雪か?
四季がEカプセルを飲んでしまった衝撃の回。
「THE BIRTH OF A NEW ESPER(新たなエスパーの誕生)」という始まり方が、もう不穏で。誕生って本来喜ばしいことなのに、この文脈だと全然嬉しくない。
「BIT FIVE REJOICES(ビットファイブは歓喜する)」と「LOVE AND BONDS GROW DEEPER(愛と絆はより深まっていく)」という明るい文章の後に、突然来る「AN ENEMY APPEARS(敵が現れる)」。
そして最後の問いかけ。
「WILL ASH OR SNOW FALL FROM THE SKY?(空から降るのは灰か雪か?)」
灰は破壊の象徴。雪は清めの象徴。どちらが降るのか。この詩的な表現が、物語の行く末を暗示しているんですよね。
結局、四季は記憶を失いました。でもそれは灰なのか、雪なのか。まだわかりません。
第6話:「KIZASHI IS A SIGN OF THE BEGINNING」―すべての始まり
原文: KIZASHIISASIGNOFTHEBEGINNINGOFEVERYTHINGSHIKISMEMORIESAREHAZYANDBUNT AFINALLYREACHESTOUTTOKIZASHISHEART
解読: Kizashi is a sign of the beginning of everything. Shiki’s memories are hazy. And Bunta finally reaches out to Kizashi’s heart.
和訳: 兆しとはすべての始まりのしるし。四季の記憶はぼんやりとしている。そして文太はついに兆の心に接触する。
「兆(きざし)」という名前の意味が明かされる回。
「KIZASHI IS A SIGN(兆しとはしるし)」という言葉遊び。日本語の「兆し」と英語の「SIGN(しるし)」を掛け合わせているんですよね。
「THE BEGINNING OF EVERYTHING(すべての始まり)」。兆こそが、この物語の原点だった。
「SHIKI’S MEMORIES ARE HAZY(四季の記憶はぼんやりとしている)」という切ない描写。記憶を失った四季の状態が、たった5単語で表現されています。
そして「BUNTA FINALLY REACHES OUT TO KIZASHI’S HEART(文太はついに兆の心に接触する)」。
この「FINALLY(ついに)」が重い。どれだけの覚悟が必要だったか。文太が初めて、自分の意志で他人の心に触れに行った瞬間でした。
第7話:「WHY WAS BUNTA CHOSEN?」―運命の問い
原文: THEDATACANBESENTTOTHEPASTICHIMATSUACTSFORITEARSJOYANANGERShikisMEMORIESAREREWRITTENWHYWASBUNTACHOSENWHYWASTHAT
解読: The data can be sent to the past. Ichimatsu acts for “I”. Tears, joy, and anger… Shiki’s memories are rewritten. Why was Bunta chosen? Why was that?
和訳: データは過去へ転送できる。市松は「I」の代わりに行動する。涙、喜び、怒り…四季の記憶は上書きされる。なぜ文太が選ばれたのか?それはなぜか?
この英文、初めて読んだ時は意味がわかりませんでした。
「THE DATA CAN BE SENT TO THE PAST(データは過去へ転送できる)」って、どういうこと? タイムトラベル? SF?
でも物語を見て理解しました。四季の記憶は、何度も書き換えられていた。過去のデータが上書きされ続けていた。その仕組みが、この一文に表されていたんです。
「TEARS, JOY, AND ANGER…(涙、喜び、怒り…)」という感情の羅列。この三点リーダーが、言葉にできない複雑な感情を表している。
そして最後の問いかけ。
「WHY WAS BUNTA CHOSEN?(なぜ文太が選ばれたのか?)」「WHY WAS THAT?(それはなぜか?)」
同じ質問を二回繰り返している。この執拗さが、物語の核心に迫る問いであることを示しているんですよね。
第8話:「ETERNITY AND FLEETING MOMENT」―永遠と一瞬
原文: BITFIVEDISBANDEDONBUNTASMISSIONSHIKIREMEMBERSBUNCHANKIZASHISETERNITYANDFLEETINGMOMENTOFSHIKI
解読: Bit Five disbanded. On Bunta’s mission, Shiki remembers Bunchan, Kizashi’s eternity and the fleeting moment of Shiki.
和訳: ビットファイブは解散する。文太の任務中、四季はぶんちゃんのこと、兆にとっては永遠の、自分自身には一瞬の出来事を思い出す。
「BIT FIVE DISBANDED(ビットファイブは解散する)」という、あまりにもストレートな宣告から始まる英文。
でもこの回の核心は、次の文です。
「KIZASHI’S ETERNITY AND THE FLEETING MOMENT OF SHIKI(兆にとっては永遠の、自分自身には一瞬の出来事)」
「ETERNITY(永遠)」と「FLEETING MOMENT(一瞬)」。
兆にとって四季との時間は永遠に続くはずだった。でも四季にとっては、記憶を消されるたびに、すべてが一瞬で消えていく。
この時間の相対性、記憶の儚さを、英語の対比表現で美しく描いている。日本語だとここまでの詩的な響きは出せないかもしれません。
四季が「ぶんちゃん」のことを思い出すシーン。あの涙を見て、この英文を思い出しました。
第9話(最終回):「THAT IS WHAT IT MEANS TO LIVE」―生きることの意味
原文: THEMISSIONISENDLESSLYDIFFICULTEVENSOITMUSTETTERNALLYCONTINUETHATISWHATIITMEANSTOLIVE
解読: The mission is endlessly difficult. Even so, it must eternally continue. That is what it means to live.
和訳: 使命は果てしなく困難だ。それでもなお、永遠に続けなければならない。それが生きるということの意味だ。
最終回の英文は、このドラマ全体のテーマを集約した言葉でした。
「THE MISSION IS ENDLESSLY DIFFICULT(使命は果てしなく困難だ)」
第1話から文太たちが背負ってきた「世界を救う」という使命。それは決して楽なものではなかった。愛してはいけない。記憶を失う。仲間が離れていく。
でも次の文がすべてを変えます。
「EVEN SO, IT MUST ETERNALLY CONTINUE(それでもなお、永遠に続けなければならない)」
「EVEN SO(それでもなお)」という逆接。困難だからこそ、諦めない。「ETERNALLY(永遠に)」という言葉が、使命の重さと同時に、その尊さを表している。
そして最後の一文。
「THAT IS WHAT IT MEANS TO LIVE(それが生きるということの意味だ)」
困難な使命を背負い、それでも続けていく。それこそが「生きる」ということ。
第1話の「HE MUST NOT LOVE(愛してはならない)」という禁止から始まった物語が、最終回で「IT MEANS TO LIVE(生きるということ)」という肯定で終わる。この対比が美しい。
文太と四季の物語は、愛することを禁じられながらも、愛することの意味を見つけていく旅でした。困難だからこそ、続ける価値がある。それが生きることの本質なのだと、この英文は語っているんですね。
まとめ:ちょっとだけエスパー、最初の英語は”視聴者へのヒント”
回ごとに変わることでストーリーの理解が深まる
1話〜8話の英文を並べてみると、一つの大きな物語が見えてきます。
- 第1話で始まった「愛してはならない」契約
- 第2話で学んだ「救えないものもある」という現実
- 第3話で得た「ちょっとだけの勇気」
- 第4話で芽生えた「禁じられた愛」
- 第5話で直面した「敵の出現」
- 第6話で知った「すべての始まり」
- 第7話で問われた「選ばれた理由」
- 第8話で迎えた「解散と記憶」
- 第9話(最終回)で辿り着いた「生きることの意味」
この流れ、最初から計算されていた?各話の英文は独立しているようで、実は大きな物語の一部だったんですね。
毎回録画を巻き戻して英文を確認して、物語を見終わった後にもう一度読み返す。この二度見、三度見が前提の演出。むしろ「何度も見返してほしい」というメッセージなんだと思います。
英単語の意味を知るとドラマがもっと面白い理由
正直に言うと、最初は「オシャレな演出だな」くらいにしか思ってませんでした。
でも第2話の「WAS」一文字が持つ意味に気づいた時。 第4話の「ALSO」という小さな単語が持つニュアンスに震えた時。 第7話の「データは過去に送れる」という一文の重さを理解した時。
このドラマが、どれだけ緻密に作られているか実感しました。
冒頭の英文は、単なる飾りじゃない。物語の設計図そのものなんです。
野木亜紀子さんの脚本は、いつも「見返したくなる仕掛け」が満載でした。『MIU404』も『アンナチュラル』も、二度目に見ると新しい発見があった。
でも『ちょっとだけエスパー』は、その仕掛けを最初の数秒に凝縮させた。答えは常に画面に映っていた。でも私たちは気づけなかった。
それってまさに、文太のエスパー能力みたいじゃないですか。
触れれば心の声が聞こえる。でも聞きたくない声も聞こえてしまう。 英文を読めば物語の核心がわかる。でも知りたくない結末も見えてしまう。
この相似形が、演出として完璧だと思うんです。
そして最終回。番組最後に映された最後の英文は「使命は果てしなく困難だ。それでもなお、永遠に続けなければならない。それが生きるということの意味だ」と語りました。
第1話の「愛してはならない」という禁止から始まった物語は、「生きることの意味」という肯定で幕を閉じた。
困難な使命を背負いながらも、愛することを選び、生き続けることを選んだ文太と四季。その姿が、私たちに「ちょっとだけの勇気」を与えてくれました。
すべての答えは、やはり最後の英文に隠されていました。
みなさんは、どの回の英文が一番好きですか?私は第8話の「永遠と一瞬」という対比に、まだ震えています。
録画、残してますか?最終回の後、第1話からもう一度見返す準備、できてますか?このドラマ、絶対に二周目が楽しいはずです。




